浮世絵 源氏物語
 
    

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源氏香の図 1 (げんじこうのず)
絵師:三代歌川豊国 出版:弘化1年(1844)~弘化4年(1847) 版元:山本屋平吉 

源氏香の図  1  2  3

 源氏香の図 序文 
 

 源氏香の図 1桐壺(きりつぼ)
  いときなき 初もとゆひに 長き世を ちぎる心は 結びこめつや
 
 

 源氏香の図 2帚木(ははきぎ)
  数ならぬ 伏屋に生きふる 名のうさに あるにもあらず 消ゆる帚木
 
 

 源氏香の図 3空蝉(うつせみ)
  空蝉の 身をかへてける きのもとに なほ人がらの なつかしきかな
 
 

 源氏香の図 4夕顔(ゆうがお)
  寄りてこそ それかとも見め たそがれに ほのぼのみつる 花の夕顔
 
 

 源氏香の図 5若紫(わかむらさき)
  手につみて いつしかも見む むらさきの ねにかよひける 野辺の若草
 
 

 源氏香の図 6末摘花(すえつむはな)
  なつかしき 色ともなしに 何にこの すゑつむ花を 袖にふれけむ
 
 

 源氏香の図 7紅葉賀(もみじのが)
  もの思ふに 立ち舞ふべくも あらぬ身の 袖うちふりし 心知りきや
 
 

 源氏香の図 8花の宴(はなのえん)
  いづれぞと 露のやどりを わかむまに 小笹が原に 風もこそ吹け
 
 

 源氏香の図 9葵(あふひ)
  はかりなき 千尋の底の みる(海松)ぶさの 生ひゆく末は 我のみぞ見む
 
 

 源氏香の図 10賢木(榊)(さかき)
  神垣は しるしの杉も なきものを いかにまがへて 折れるさかきぞ
 
 

 源氏香の図 11花散里(はなちるさと)
  たちばなの 香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を たづねてぞとふ
 
 

 源氏香の図 12須磨(すま)
  うきめ刈る 伊勢をのあまを 思ひやれ もしほたるてふ 須磨の浦にて
 
 

 源氏香の図 13明石(あかし)
  秋の夜の つきげの駒よ わが恋ふる 雲ゐをかけれ 時のまも見ん
 
 

 源氏香の図 14澪標(みをつくし)
  数ならで なにはのことも かひなきに などみをつくし 思ひそめけむ
 
 

 源氏香の図 15蓬生(よもぎふ)
  たづねても われこそとはめ 道もなく 深きよもぎの もとのこころを
 
 

 源氏香の図 16関屋(せきや)
  あふさかの 関やいかなる 関なれば 繁きなげきの 中をわくらん
 
 

 源氏香の図 17絵合(えあはせ)
  うきめ見し そのをりよりも 今日はまた 過ぎにしかたに かへる涙か
 
 

 源氏香の図 18松風(まつかぜ)
  身をかへて ひとりかへれる 山ざとに 聞きしににたる 松風ぞふく
 
 

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