浮世絵 義経記 
   
 
        土佐坊昌俊 義経が宿所に夜討の図 絵:歌川国芳 出版年:天保14年(1843)~弘化4年(1847) 

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義経記 (ぎけいき)

 義経記  浮世絵 絵巻  御伽草子 仮名草子  浮世草子
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 ”判官びいき”という言葉があります。日本人の心情を語るときにしばしば用いられる言葉である。平氏を追い落として鎌倉幕府を成立させた最大の功労者である九郎判官源義経(くろうほうがん みなもとのよしつね)が、最後は兄である頼朝の軍勢によって討たれるという悲運のヒーローへ寄せられる同情が判官びいきという言葉の由縁とされる。私の子供の頃は、誰でも義経や牛若丸の物語本の1、2冊は読んでいた。今の子供達が読んでいるかどうか分らないが、それでも名前くらいは知っているのではないだろうか。義経の生き様は多くの日本人に好感をもって受け入れられてきた。その義経の生き様に共感する心情は、弱者や敗者に同情する感情に連なり、判官びいきは日本人の特異的な心情として認知されていると思う。
 義経の伝記とされる「義経記(ぎけい)」が成立した時期は諸説あるようですが、現在に伝わる物語として成立したのは室町時代とするのが一般的のようです。作者は不詳。義経に関する各種・各地方の多くの記録・伝承をある特定人物が寄せ集めて纏め上げたと推測されますが、その人物が誰であるのかは想像の域をでないようです。
 ただ、義経記は義経の伝記ではあるが、不思議に感じるのは平氏追討の最大の山場である源平合戦が全くと言っていいほど書かれていないこと。義経記は8巻によって構成されている。大別すれば第1巻から第3巻までが前段で、第4巻以降が後段とされる。前段は義経の生い立ちで鞍馬での修行から始まっている。ただし第3巻ではほとんどの記述が弁慶に関するもの。後段の4巻目に頼朝の挙兵に参陣して義経は大将として平家追討に向かうが、その戦の内容は1ページ程度のもの。記述の大半は梶原景時の讒言から謀叛有りとの嫌疑をかけられた義経の、頼朝の追手からの逃避行であり、奥州平泉での義経の最期で終わる。源平合戦は義経記ではなく平家物語の方が詳細に書かれている。
 もっとも義経記の作者(編集者?)は前段の生い立ちや後段で語られるべきであろう義経の華々しい戦闘での活躍よりも、英雄の悲劇的な展開を伝えることに重点を置いていたのかもしれない。鎌倉幕府の差し向けた追手との戦闘シーンや苦難の連続の逃避行のエピソードは読んでいて(江戸時代に刊行された版本でなく現代に出版された翻訳本を読んでのことだが)夢中になる。
 このページのタイトルは「義経記」ですが、その記述された内容にかかわらず義経(牛若丸)および弁慶に関する浮世絵や絵草子の類を集めてみました。掲載した浮世絵、絵草子等の作品は全て国立国会図書館がweb上で公開しているデジタルコレクション(著作権保護期間満了)によるものです。色合い、色彩、サイズ等を任意に加工・補正・修正していますので元画とは異なっている場合があります。

義経記    

 元和・寛永版 義経記
 絵:
 作:
  
 それまで写本で流通していた義経記が初めて印刷本として登場したのは慶長年代(1596~1615)とされる。その後の元和年代(1615~1624)から寛永年代初期に丹緑彩色の挿絵入り本が刊行された。全8巻で、合計66図の挿絵がある。

 寛永12年版 義経記 
 絵:
 作:
 元和・寛永期刊本に次いで寛永12年(1635)に出版された挿絵入り義経記で挿絵の数は元和・寛永期刊本と同じ66図。ただし一図は2ページにまたがり印刷され、その分絵が伝える情報量は多い。また、文字は漢字が多用されてページ数の増加が抑えられている。

 寛文10年版 義経記 
 絵:菱川師宣
 作:
 寛文10年(1670)吉野屋惣兵衛より出版。挿絵は全部で80図あり、画風から菱川師宣が描いたと推定。寛永期刊本と比べ行数が12行から14行になり、その分ページ数が減少している。挿絵に彩色は施されていない。 

 元禄 2年版 義経記 
 絵:
 作:
 出版年 元禄2年(1689) 版元 うろこがたや
 絵入浄瑠璃本の体裁で出版されている。全7冊。挿絵のスペースが4割ほどある。


浮世絵 絵巻    

 浮世絵 牛若丸  義経の幼年期・牛若丸の時代を描いた浮世絵。 

 浮世絵 源平合戦  平氏追討の大将として参陣した源平合戦を描いた浮世絵。

 浮世絵 義経都落   頼朝の追手から逃れ、奥州平泉で最期を遂げるまでを描いた浮世絵。

 絵巻 義経東下り  出版年:室町時代後期  版元: 


御伽草子 仮名草子    

 弁慶物語
 絵:
 作: 
 出版年:慶安4年(1651)  版元: 
 室町物語(御伽草子) 2巻

 天狗の内裏
 絵:
 作: 
 出版年:万治2年(1659)  版元:松会  
 室町物語(御伽草子) 2巻
 鞍馬の天狗と義経の物語

 御曹子島渡
 絵:
 作: 
 出版年:寛文年間(1661~1672)  版元:渋川清右衛門 
 御伽草子(渋川版) 1巻

 判官みやこ物語  
 絵:
 作:
 出版年:  版元:秋田屋市兵衛
 室町物語(御伽草子) 5巻
 

 十二たんそうし
 絵:
 作
: 
 出版年:  版元
 室町物語(御伽草子) 1巻


浮世草子    

 御前義経記 
 絵:
 作:西澤一風
 出版年:元禄13年(1700) 版元:上村平右衛門 他
 浮世草子 8巻 作者は西澤一風。御前義経記は平家物語と義経記から主要な部分を抜き通り、これを当時の好色な町人生活に当てはめたストーリー。 

 鬼一法眼虎の巻
 絵:
 作:江島其磧
 出版年:享保18年(1733)  版元:菊屋七郎兵衛
 浮世草子(八文字屋本) 7巻
 


赤本 黒本 青本    

 義経一代記  
 絵:
 作:
 出版年:不詳  版元:鱗形屋
 黒本
 

 義経千本桜
 絵:
 作: 
 出版年:  版元:
 黒本 2冊
 

 古戦場鐘懸の松  
 絵:
 作:
 出版年:宝暦11年(1761)  版元: 

 弁慶誕生記
 絵:
 作: 
 出版年:  版元:
 青本 2冊
 

 源平盛衰記
 絵:歌川国信
 作:
 出版年:江戸後期  版元:鶴屋金助
 赤本(復興版) 2冊
 


黄表紙 合巻

 無茶志房弁慶嶋
 絵:
 作: 
 出版年:寛政2年(1790)  版元:榎本屋吉兵衛
 黄表紙 2冊
 

 源平合戦記
 絵:二代喜多川歌麿
 作:二代恋川春町 
 出版年:  版元:
 黄表紙 5冊
 

 伏見常盤
 絵:歌川国貞
 作:柳亭種彦
 出版年:文政4年(1821)  版元:西村屋与八
 合巻 5冊
 

 熊坂物語
 絵:歌川広重
 作:柳亭種彦 
 出版年:文政4年(1821)  版元:西村屋与八
 合巻 2冊
 

 義経誉軍扇
 絵:歌川国安
 作:五柳亭徳升 
 出版年:文政10年(1827)  版元:鶴屋喜右衛門
 合巻 5冊
 

 菊黄金陸奥
 絵:歌川貞房
 作:五柳亭徳升 
 出版年:天保2年(1831)  版元:森屋治兵衛
 合巻 5冊
 

 義経越路松
 絵:歌川貞秀
 作:十返舎一九 
 出版年:天保3年(1832)  版元:山口屋藤兵衛
 合巻 6冊
 

 源平武者鏡
 絵:歌川貞秀
 作:宝田千町 
 出版年:天保7年(1736)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 6冊
 

 鞍馬山源氏之勲功
 絵:歌川広重
 作:二代楚満人(為永春水) 
 出版年:天保8年(1837)  版元:西村屋与八
 合巻 5冊
 

 花櫓詠義経
 絵:歌川国芳
 作:美図垣笑顔 
 出版年:天保11年(1840)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 5冊 

 義経千本桜
 絵:二代歌川国貞
 作:柳下亭種清 
 出版年:安政4年(1857)  版元:鶴屋喜右衛門
 合巻 12冊(4冊×3)
 

 義経一代記
 絵:歌川芳虎
 作:奇名亭重山 
 出版年:安政4年(1857)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻  4冊
 


浄瑠璃・狂言絵本    

 きよしげ
 絵:
 作: 
 出版年:正保2年(1645)  版元:正本屋九兵衛
 絵入浄瑠璃本
 

 いずみがじょう
 絵:
 作: 
 出版年:明暦4年(1658)  版元:山田市兵衛
 絵入浄瑠璃本
 

 ふきあげ
 絵:
 作: 
 出版年:万治~寛文(1658~1672)  版元:
 絵入浄瑠璃本
 

 牛若弁慶嶋渡 
 絵:
 作:
 出版年:延宝5年(1677)  版元:山本九兵衛
 絵入浄瑠璃本
 

 凱陣八嶋
 絵:
 作:井原西鶴 
 出版年:貞享2年(1684)  版元:秋田屋市兵衛
 絵入浄瑠璃本
 

 源平軍論
 絵:
 作: 
 出版年:  版元:うろこがたや
 絵入浄瑠璃本 1巻
 

 御曹司初寅詣 
 絵:
 作:近松門左衛門
 出版年:元禄14年(1701) 版元:正本屋喜左衛門
 絵入狂言本 1巻  
 近松門左衛門作の狂言。

 義経千本桜 
 絵:
 作:竹田出雲 他
 出版年:  版元: 
 義経千本桜は延享4年(1747)大阪竹本座で初演さえた芝居。2代目竹田出雲、三好松洛、並木千柳の合作。

 筆初勧進帳 
 絵:
 作
 出版年:天明4年(1782) 版元:
 絵本番附 1冊 中村座の狂言・芝居絵本
 

 中村座・市村座 芝居番附  義経千本桜 義経腰越状 


幸若舞    

 常盤問答  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 伏見常盤  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 未来記  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 笛の巻  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 烏帽子折  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 2巻

 清重  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 腰越  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 堀川夜討  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 四国落  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

 笈探し  出版年:寛永年間(1624~1643)
 幸若舞 1巻

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