掲載の「十二たんそうし(十二段草子)」は浄瑠璃の正本である絵入浄瑠璃本ではありませんが、室町時代の文明7年(1475)以前には成立していたとされる御伽草子(室町物語)で人形浄瑠璃の発端となったとされる物語本。元々は浄瑠璃姫物語、浄瑠璃御前物語などと呼ばれていた。浄瑠璃研究には必読の書と言われています。
写本などで流通していた読物としての浄瑠璃物語が十五世紀中には琵琶法師などによって節をつけて語られるようになる。永禄年間(1558~1569)頃に中国から琉球を経て渡来した三線(蛇皮線・じゃびせん)が慶長・元和(1596~1623)の頃には日本独特の猫の皮を使用した三味線となり、また奈良時代から存在していた傀儡子(くぐつ)と呼ばれた人形遣いの技とが浄瑠璃物語と合わさって、江戸時代初頭には人形を操り三味線を伴奏とした芸能としての人形浄瑠璃の基盤ができたと推測されている。
浄瑠璃姫物語、十二段草子には多くの伝本があるようですが、このページに掲載した「十二たんそうし」は希書複製会が東京帝国大学(当時)図書館所蔵本を底本として昭和8年(1933)に刊行した複製本(国会図書館デジタルコレクションに収録された著作権保護期間満了の作品)です。底本は全段一冊の構成のようですが複製本は3冊に分割されて刊行され、当サイトもこれにしたがい分割して掲載しています。 |