浮世絵 源氏物語 
 
    

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寛文版源氏物語03 空蝉(うつせみ)
 物語 全54帖  絵師: 作者:紫式部   出版:寛文年間(1661~1672) 版元: 

03空蝉 源氏17歳。

 空蝉の 身をかへてける 木のもとに なほ人がらの なつかしきかな
 空蝉の 羽におく露の 木がくれて しのびしのびに ぬるる袖かな

 空蝉は源氏の再度の訪れにも応じようとはしなかった。「わたしはこんなに人に憎まれたことはなかった。初めて人の世はままならぬものと身にしみて分かった」と嘆く。それでも諦めができず「自分の思い通りにいかず苦しいから、適当な折をみて、逢えるように工夫してくれ」と、小君に頼む。小君は厄介なことだと思いながらも源氏を慕っていおり、何とか逢える機会を作ろうと思案する。
 小君は紀伊守が任地に下って不在の時を狙って源氏を屋敷に案内する。部屋の中を垣間見ると二人の女性が碁を打っていた。一人は空蝉らしく、もう一人は伊予介の自慢の娘”軒端萩(のきはのはぎ)”と見えた。源氏はこちらの娘の方にも興味をそそられる。皆が寝静まってから、源氏は再び空蝉の閨に忍びこむ。空蝉は源氏が訪れるのを察して小袿(こうちぎ)を脱ぎ捨てて軒端萩を残して逃げ去ってしまう。源氏は女が一人寝ているのを空蝉と思い込み、そのまま女に言い寄る。やがて源氏は人違いに気付くが、人違いしたと思われるのが癪でそのまま女に言い寄る。源氏は空蝉へのつらあてもあって、軒端萩と愛情深く約束を交わし、空蝉が脱ぎ捨てた小袿を手にして部屋を出た。
 源氏は小君を連れて自宅の二条院に入る。源氏はしばらく休んだが眠ることができず、硯を取り寄せ、いたずら書きのように懐紙に書き綴る。
 空蝉の 身をかへてける 木のもとに なお人がらの なつかしきかな
(蝉が脱け殻を残して姿を変えて行ってしまった木のもとで、衣を残して行ってしまったあの人を懐かしく思う)
小君は源氏のいたずら書を懐に入れる。
 小君が紀伊守の屋敷に戻ると姉君(空蝉)が待っており、小君が源氏を屋敷に案内したことを戒め、小君はきつい叱責を受ける。小君は自分の立場がなく、迷いながらも源氏のいたずら書きを空蝉に渡す。
 空蝉は一人になって物思いに沈んでいた。昔の身の上ならばと、いまさら取り戻しようもないことながら、自分の胸一つに収められない気持ちから、 
 空蝉の 羽におく露の 木がくれて しのびしのびに ぬるる袖かな
(空蝉の羽に置く露のように、木陰に隠れ人目を忍んでは、涙に袖が濡れることです)」と、源氏のいたずら書きの端に書きとどめた。
  

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

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