浮世絵 源氏物語 
 
    

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寛文版源氏物語02 帚木 1(ははきぎ)
 物語 全54帖  絵師: 作者:紫式部   出版:寛文年間(1661~1672) 版元: 

帚木  1  

02帚木 源氏17歳。

 帚木の 心をしらで その原の 道にあやなく まどひぬるかな
 数ならぬ 伏屋(ふしや)に生ふる 名のうさに 
                  あるにもあらず 消ゆる帚木
 
 「光源氏」などと名前はたいそうだが、浮いた噂がないのは物足りないと、口さがない都の人々の好奇の目が向けられていた。源氏がまだ中将の位であった頃、宮中で熱心に勤めて葵の上の待つ左大臣家には途絶えがちにしか帰らず、このため人目を忍んで執心する女でもいるのかと疑いの目を向けられることもあったが、もともと浮気やありふれた出来心の色ごとなどは好まぬ性格であった。
 葵の上と同腹の兄、頭中将(とうのちゅうじょう)は内親王を母に持つ誇りから光源氏にも遠慮せず、何事にも良き相手であった。
 五月雨の降る退屈な夜に源氏が宮中で宿寝をしていると頭中将があらわれ、厨子の文反故(ふみほご)を読んでいるうちに女性の話になった。頭中将は上流、中流、下流の女の品につき話始めたとき、そこに左馬頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)が加わる。左馬頭は「中の品の女」受領階層の娘を高く評価して経験談を交えた女の性情を事細かく話すと源氏は熱心に聞き入っている様子であった。頭中将も自分の経験談を話し、式部丞も博士の位の娘との一部始終を語る。源氏は頭中将までがと思い、中の品の女に興味を持つ。
 翌日、天候も良く源氏は久し振りに左大臣家に向う。葵の上の様子も変わりなく、気品高く崩れたところもない。昨夜の「雨夜の品定」の人々が見捨て難く信頼できる人と評価する女性であるが、端正すぎて打ち解け難く、源氏の方が気恥ずかしくなるほどとりすましている様子は、源氏に物足りなさを思わせる。
 暗くなるころ、「今宵、中神、内裏より塞がりてはべけり」との注進があり。中神は陰陽道の祭神で悪い方角を防ぎ守る神。左大臣邸も源氏の自宅・二条院も忌みする方角にある。源氏は使用人の伝手で中川(京極川)にある紀伊守の別邸へ「方違(かたたが)え」をする。そこで源氏は紀伊守の老父伊予介の若い後家(空蝉)に出会う。空蝉は昔は宮仕えの話もあったほどの人であるが、はしたない侍女のうわさ話などが筒抜けで聞こえてくることから、源氏は軽く侮って、その閨に忍びこむ。しかしつつましく思料深い様子に源氏は一層引きつけられる。源氏は空蝉が忘れられず、紀伊守に空蝉の弟の小君の世話を申し出、その小君を仲介者として再び中川の屋敷を訪ねるが、空蝉は会うことを拒んだ。源氏は生れて初めて女の拒否にとまどう
 


   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帚木  1  

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