浮世絵 南総里見八犬伝

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南総里見八犬伝 1
読本 98巻  絵師:柳川重信 他   作者:曲亭馬琴  出版:文化11年(1814)〜 版元:山崎平八 他 
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 南総里見八犬伝は文化10年(1813)から天保12年(1841)の足掛け29年にわたって曲亭馬琴によって書かれた長編伝奇小説。(ただし出版されたのは文化11年・1814から天保13年・1842)。 98巻、106冊におよぶ超長編小説。実在した地名、人物も登場するが全ては馬琴の創作。
 物語は室町時代後期の安房の国・里見家が舞台。結城合戦で敗れた里見義実(よしざね)は安房に落ち延び、滝田城主神余(じんよ)光弘を謀殺した逆臣山下定包(さだかね)を神余家の旧臣金碗(かなまり)八郎の支援を得て討つ。義実は定包の妻玉梓(たまずさ)の助命を一旦は認めたが、八郎がそれを諌めた為に結局は斬首される。玉梓は斬首されるとき「里見の子孫を畜生道に落して煩悩の犬にしてやる」と呪詛する。その後、里見領の飢饉に乗じて館山の安西景連に攻め込まれ、城が包囲されて落城寸前になった時、義実は飼い犬の八房(やつふさ)に「景連の首を取ってきたら娘の伏姫を与える」と戯れを言う。八房はこの言葉を信じて定包の首を持ち帰る。八房は約束の履行を求め、伏姫は君主が約束を違えることはできぬと義実を説いて八房を伴い富山(とやま=南房総に実在する山。標高340m)に入る。ここで伏姫は八房の霊気を受けて身籠る。また八房が玉梓の呪詛を負うていることを知る。
 伏姫を探して富山に入った里見義実と金碗八郎の子・大輔は伏姫に会うが、伏姫は懐妊を恥じて割腹して胎内に犬の子がいないことを証明する。その時、伏姫の数珠が空中に浮かび、仁義八行(仁・義・禮・智・忠・信・孝・悌)の文字が記された大珠が飛散する。金碗大輔は僧となり”犬”という字を崩しヽ大(ちゅだい)と名乗り、八方に散った数珠玉を探す旅に出る。
 関八州の各地に仁・義・禮・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠玉を持ち、牡丹の形をした”あざ”が身体のどこかにある八人の若者が登場する。八人はそれぞれに辛酸をなめながら因縁に導かれてやがては里見家の下に集結する。登場する八犬士にはそれぞれ数珠玉に記された文字と犬の字が付けられている。犬塚信乃戌孝(もりたか)、犬川荘介義任(よしとう)、犬飼現八信道(のぶみち)、犬田小文吾悌順(やすより)、犬江親兵衛仁(まさし)、犬山道節忠興(ただおき)、犬坂毛野胤智(たねとも)、犬村大角禮儀(まさのり)の八人。八犬士は扇谷山内・滸我(史実で登場する名は古河)公方連合軍と戦い、これに勝利し大団円となる。
 馬琴は天保4年(1833)頃から右眼の視力が衰え、天保9年(1838)には左目の視力も衰えて天保11年(1840)には失明するに至る。執筆活動は先に亡くなった息子の嫁お路に口述して続け、小説を完成させている。馬琴は八犬伝を完成させた後も「傾城水滸伝」などの執筆活動を続けるが嘉永元年(1848)に没する。享年82歳。
 挿絵は柳川重信で、文政6年(1823)に出版された第5輯から渓斎英泉も加わる。柳川重信は小説の完成を待たずに天保3年(1832)に亡くなったので、その後は弟子で養子の重山が2代目重信を名乗り引き継いだ。
 当サイトの掲載本は馬琴が所蔵していたとされる初版本です(国立国会図書館デジタル化資料)。表紙のデザインは犬をテーマとしたもので各輯ごとに異なっており約20種ある。併せて大正6年(1917)に出版された活字本も掲載しましたので、興味があれば”新本”のロゴをクリックしてください。新本には挿絵はありません。

 第一輯 五冊  出版年 文化11年(1814)  

 巻之一  第1回 季基(すえもと)訓(おしえ)を遺して節に死す
     白龍雲を挟みて南へ帰(おもむ)く
第2回 一箭(いっせん)を飛ばして侠者白馬をあやまつ
     両郡を奪いて賊臣朱門による
新本 
 巻之二  第3回 景連信時(かげつらのぶとき)暗に義実を拒む
     氏元貞行(うじもとさだゆき)厄に館山に従う
第4回 小湊に義実(よしさね)義を聚(あつ)む
     笆内(かきのうち)に孝吉あたを逐う  
新本
 巻之三  第5回 良将策(はかりごと)を退けて衆兵仁(じん)を知る
     霊鴿(いへはと)書を伝えて逆賊、頭を贈る
第6回 倉を開きて義実二郡を賑わす
     君命を奉(うけたまわ)り孝吉三賊を誅す 
新本
 巻之四  第7回 景連奸計(かんけい)信時を売る
     孝吉節儀(せつぎ)義実に辞す
第8回 行者の岩窟に翁(おきな)伏姫(ふせひめ)を相す
     瀧田の近村に狸雛狗(たぬきいぬのこ)を養う 
新本
 巻之五 第9回 盟誓(ちかい)を破りて景連両城を囲む
     戯言を信(うけ)て八房首級を奉る
第10回 禁を犯して孝徳(たかのり)一婦人を失う
      腹を裂きて伏姫八犬子を走らす  
新本



 第二輯 五冊  出版年 文化13年(1816)  

 巻之一 第11回 仙翁(やまびと)夢に富山に栞(しおり)す
      貞行暗に霊書をたてまつる
第12回 富山の洞(ほら)に畜生菩提心を発(おこ)す
      流水に遡りて神童未来果を説く  
 新本
 巻之二  第13回 尺素(ふみ)を遺して因果みづから訟(うったう)
      雲霧を払いて妖しみはじめて休む
第14回 のりものを飛ばして使女たにがわを渉す
      錫を鳴らしてヽ大記總(ずずたま)を索ぬ
 新本
 巻之三  第15回 金蓮寺に番作(ばんさく)仇を撃つ
      拈華(ねんげ)庵に手束(たずか)旅人を留む
第16回 白刃の下に鸞鳳(らんほう)良縁を結ぶ
      天女の廟(やしろ)に夫妻一子を祈る   
 新本
 巻之四  第17回 妬忌(とき)を逞しくして蟇六ひとのこを養う
      孝心を固くして信乃、瀑布に祓(はらい)す
第18回 簸(ひの)川原に紀二郎、命を隕(おと)す
      村長、宅(やしき)に与四郎疵を被る 
 新本
 巻之五  第19回 亀篠(かめざき)奸計糠助(ぬかすけ)をすかす
      番作遠謀孤児(みなしご)を托す
第20回 一そうの玉児(ぎょくじ)義を結ぶ
      三尺の童子志(こころざし)を演(のぶ) 
 新本



 第三輯 五冊   出版年 文政2年(1819)

 巻之一  第21回 額蔵(がくぞう)間諜信乃を全うす
      犬塚懐舊(かいきゅう)青梅を観る
第22回 濱路ひそかに親族を悼む
      糠助病(やみ)て其の子を思う 
 新本
 巻之二  第23回 犬塚義遺託を諾(うけい)く
      網乾(あぼし)謾(そぞろ)に歌曲を売る
第24回 軍木(ぬるで)媒(なかだち)して荘官に説く
      蟇六、偽りて神宮に漁(すなとり)す 
 新本
 巻之三  第25回 情を含みて濱路、憂苦(ゆうく)を訟ふ
      奸を告げて額蔵(がくぞう)主家に還(かえ)る
第26回 権をもてあそびて墨官(ぼくかん)婚夕を促す
      殺を示して頑父再○(さいぞう)を羞む 
 新本
 巻之四  第27回 左母二郎、夜新人(はなよめ)を略奪す
      寂莫道人、見(げん)に円塚に火定す
第28回 仇を罵りて濱路(はまじ)節に死す
      族(やから)を認めて忠興、故をかたる 
 新本
 巻之五  第29回 叟玉(そうぎょく)を相換て額蔵類を知る
      両敵に相遭て義奴怨みを報う
第30回 芳流閣(ほうりゅうかく)上に信乃血戦す
      坂東河原に見八(けんはち)勇を顕(あらわ)す 
 新本



 第四輯 五冊  出版年 文政3年(1820)

 巻之一  第31回 水閣の扇舟(こぶね)両雄を資す
      江村の釣翁(つりびと)そう狗を認(みし)る
第32回 も櫂を除きて少年號を得たり
      すまいを試みて修験争いを解く 
 新本
 巻之二  第33回 小文吾(こぶんご)夜麻衣を喪(うしな)う
      現八郎(げんはちろう)遠く良薬を求む
第34回 栞崎(しおろざき)に房八 宿恨をはらす
      藁塚(わらずか)に犬田急難を緩(ゆるく)す 
 新本
 巻之三  第35回 念玉(ねんぎょく)戯れに笛を借る
      妙眞(みょうしん)哀しみて婦(よめ)を返す
第36回 忍を破りて犬田(いぬた)山林と戦う
      怨みを含みてぬい四大を傷害す  
 新本
 巻之四  第37回 病客薬を辞して齢(よわい)を延ぶ
      侠者(きょうしゃ)身を殺して仁を得たり
第38回 戸外を戌(まも)りて一犬間者を拉(とりひし)ぐ
      徴書(ちょうしょ)を返して四げん來使に辞す 
 新本
 巻之五  第39回 二箱におさめて良儔夫妻を葬る
      一葉を浮かめて壮士両友を送る
第40回 密葬を詰(なじり)て暴風(あかしま)妙眞を挑む
      雲霧を起こして神霊小児を奪う  
 新本



 第五輯 五冊   出版年 文政6年(1823)

 巻之一  第41回 木下闇(こしたやみ)に妙眞依介を訝る
      神宮渡(かにはのわたり)に信乃やす平に遭う
第42回 剪(はさみ)を拾いて犬田進退を決(さだ)む
      額蔵を誣(し)いて奸當残毒を逞しくす  
 新本
 巻之二  第43回 群小を射て豪傑法場(ほうじょう)をさわがす
      義士を渡して侠輔(きょうほ)河水に投む
第44回 雷電の社頭に四しゅん会話(つもるものがたり)す
      白井の郊外に孤忠あたを窺う  
 新本
 巻之三  第45回 名刀を売弄(ばいろう)して道節怨みを複す
      窮寇を追失(おいうしな)いて助友敵を換ふ
第46回 地蔵堂に荘助首級を争う
      ふもと村に音音(おとね)きょう夫を拒む  
 新本
 巻之四  第47回 荘助三たび道節を試す
      叟玉(そうぎょく)こもごも其の主に還る
第48回 駄馬暗に両夫妻を導く
      兄弟悲しみて二老親を全うす  
 新本
 巻之五  第49回 陰鬼陽人(いんきようじん)はじめて判然
      節義貞操かたみに苦諌(くかん)す
第50回 白頭の情人ごうきんをとぐ
      青年のそう婦菩提に入る  
 新本



 第六輯 六冊   出版年 文政10年(1827)

 巻之一  第51回 兵せん山を焼きて五ゲンを走らす
      鬼燐馬を助けて両孀(りょうそう)を走らす
第52回 高屋畷に悌順(やすより)野猪を摶(てうち)にす
      朝谷村に船虫(ふなむし)古管を贈る 
 新本
 巻之二  第53回 畑上(はたがみ)誤って犬田(いぬた)を捕える
      馬加(まくはり)ひそかに船虫を奪う
第54回 常武(つねたけ)疑って一犬士を囚(とら)ふ
      品七、そぞろに奸臣を話説(わせつ)す 
 新本
 巻之三  第55回 馬大記(まだいき)讒言して途に籠山を窮せしむ
      粟飯原(あいはら)滅族せられて里に犬坂を遺す 
第56回 朝開野(あけの)歌舞してひそかにかんざしを落す
      小文吾諷諌(ふうかん)して高く舟水を論ず
 新本
 巻之四  第57回 対牛楼に毛野あたをみなごろしにす
      墨田河(すみだがわ)に文吾船を逐(お)ふ
第58回 窮やく初めて解けて轉故人に遭う
      老実主家を継ぎて舊憂を報(つぐ) 
 新本
 巻之五上  第59回 京鎌倉に二犬士四友を憶念(おくねん)す
      下毛州(しもつけのくに)赤岩庚申山の紀事 
 新本
 巻之五下  第60回 胎内くぐりに現八 妖怪を射る
      申山の窟に冤鬼髑髏(えんきどくろ)を託す 
第61回 柴門を敲(たた)きて雛衣まがつみを訴ふ
      故事を弁じて禮儀(まさのり)薄命を告ぐ
 新本



 第七輯 七冊   出版年 文政13年(1830) 

 巻之一  第62回 船虫(ふなむし)奸計禮儀(まさのり)に説く
      現八(げんはち)遠謀赤岩に赴く
第63回 短刀を携え来て縁連(よりつら)師家を○ふ
      衆兇と挑みて信道(のぶみち)武芸を顕す 
 新本
 巻之二  第64回 現八単身(ひとつみ)にして衆悪と戦う
      縁連牙二郎(よりつらがじろう)信道を逐う
第65回 嫁に逼(せま)りて一角(いっかく)胎を求む 
      腹をつんざきて雛衣 あたを仆(たお)す
 新本
 巻之三  第66回 妖邪を斬って禮儀(まさのり)父の怨みを雪む
      毒婦をこうて縁連(よりつら)白井に還る
第67回 禮儀(まさのり)義家禄を捨つ
      船虫謀て縲絏(るいせつ)をまぬがる
 新本
 巻之四  第68回 穴山の枯野に村長秋実(あきざね)を救う
      猿石の旅宿に濱路濱路をいざなう 
第69回 仕官を謀りて木工作(むくさく)信乃を豪留す
      給事を薦めて奈四郎 四六城を撃つ
 新本

 巻之五  第70回 指月院(しげついん)に奸夫淫婦を伴う
      雑庫中に眼代、戌孝(もりたか)を捕ふ
第71回 寃○(えんし)を検して堯元(たかもと)姦を知る
      禅院に寓して舊識(きょうしき)再会す 
 新本
 巻之六  第72回 三士一僧五君を敬(うやま)う
      信乃 道節、甲主(かいのぬし)に謁す 
 新本
 巻之七  第73回 仇を誤まちて奈四郎(なしろう)頭を喪う
      客を留めて次團太(じだんた)闘牛を誇る 
 新本



 第八輯 上帙 五冊   出版年 天保3年(1832)

 巻之一  第74回 牛をとどめて悌順(やすより)答恩銭をいろう
      仇を卸して磯九(いそきゅう)残雪こうに堕つ
第75回 酔客をおうて小文吾(こぶんご)次團太に遇う
      短刀を懐にして偽ごぜ犬田を按摩す 
 新本
 巻之二  第76回 庚申堂に侠者賊婦を囚(とら)ふ
      廃毀院に義任(よしとう)船虫を送る
第77回 衆賊を尽して酒顛(しゅてん)旅舎を脅かす
      内命を伝えて由充(よりみつ)二客を招く 
 新本
 巻之三  第78回 北母(ほくぼ)自ら賞罰を恣(ほしいまま)にす
      東使(とうし)ならんで首級を賜う
第79回 家廟にものいみして良臣異刀を返す
      茶店に憩うて奸佞落葉を試す 
 新本
 巻之四上  第80回 残仇を斬って毛野(けの)荘介(そうすけ)と戦う
      伝来を舒(のべ)て小文吾両雄を和(やわら)ぐ 
 新本
 巻之四下  第81回 荻野井(おぎのい)返命して偽刀舊主に還る
      三犬士再会して宿因重ねて話表す
第82回 青柳のはたごやに胤智(たねとも)詩歌を題す
      穂北の驟雨に禮儀たびづつみを喪う  
 新本



 第八輯 下帙 五冊   出版年 天保4年(1833)

 巻之五   第83回 得失地を易(かへ)て勇士厄(やく)に遭う
      片袖禍を移して賢女獨(ひとり)知る
第84回 夜泊の孤舟暗に窮士を資(たす)く
      逆旅の小集妙に郷豪を懲(こら)す  
 新本
 巻之六  第85回 志を傾けて夏行四賢(なつゆきしけん)を留む
      夢を占(あわ)して重戸しんちょうを説く
第86回 道節(どうせつ)再び復讐を謀る
      ヽ大(ちゅだい)巧みに妖賊を滅ぼす    
 新本
 巻之七  第87回 天機を談じて老獣舊洞(きゅうどう)を惜しむ
      たいまつを照らして勇僧狸穴(まみあな)に入る
第88回 湯島の社頭に才子薬を売る
      聖廟の老樹(おいき)に従者猴(さる)を走らす 
 新本
 巻之八上  第89回 奇功を呈して義侠寃囚を寧(やすく)す
      秘策を詳にし忠款、奸佞(かんねい)を鋤く 
 新本
 巻之八下  第90回 司馬濱(しばはま)に船虫(ふなむし)淫をひさぐ
      閻羅殿(えんらでん)に牛鬼賊を劈(つんざ)く
第91回 鈴森に毛野(けの)縁連(よりつら)を撃つ
      谷山に道節(どうせつ)定正(さだまさ)を射る
 新本



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