作者は金錦佐恵流(きんきんさえる)と記されているが、これは朋誠堂喜三二の別名。絵師の名は記されていないが、画風から恋川春町とされる。春町はこのほかにも喜三二の戯作に挿絵を描いている。喜三二は春町より10歳ほど年上。共に武士の身分で黄草紙を手掛ける。二人は親友でおそらく年上の喜三二の方が風俗全般に通じていて(喜三二は明和年間に吉原細見の序文を書くほどの通人であった由)、この草紙の挿絵を描くに当たって春町にいろいろな助言をしたと思われる。そのことが2年後に春町が出版した「金々先生栄華夢」につながったに違いない。
本書は当時の若者のスタイルブックといった内容。当時の若者が、われわれの青春時代のJUNとかVANといった流行のファッションの載った雑誌を見るのと同じ感覚で、この草紙を眺めたのかと想像すると愉快になる。 |