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好色一代男(江戸版) 1  (こうしょく いちだいおとこ)
 浮世草子 8巻  絵師:菱川師宣 作者:井原西鶴   出版:貞享1年(1684) 版元:川崎七郎兵衛 

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 好色一代男の江戸版は関西での出版後2年遅れの貞享元年(1684)に出版された。江戸版の挿絵は菱川師宣が描いている。関西での評判を聞きつけた版元が一儲けを企て、西鶴の了解なしに出版したようだ。争いになっていないところをみると、当時は著作権という概念が無かったのだろうか。しかし、西鶴の了解を取っていないので当然に関西で使用された板木は利用できない。新たに板下を描いて板木を作る必要があった。もっとも江戸と大坂は距離があり板木の運搬は非効率だったかもしれないし、何より増版を重ねているので板木が摩耗して再利用は無理だったかもしれない。
 版元は江戸での草紙の売れ行きを考えて当時の流行絵師であった菱川師宣に挿絵を描かせたようだ。しかし挿絵の構図は関西版とほぼ同じ。資本家の版元の指示は当時は絶対的なものであったと想像できるが、他の絵師の書いたものを真似ることに抵抗感はなかったのか、師宣にはプライドはないのかと現代人なら疑問に思うところ。とはいえ、構図は似ていても画風は明らかに異なる。関西では受け入れられた西鶴の絵は、素人の絵だが見方によってはリアルすぎる表現でもある。武家文化が色濃く支配する江戸では無理であったかもしれない。挿絵一つからも、当時も今と同様に、関西圏と関東圏の文化の違いが有るように感じられる。 
 江戸版は挿絵のほかにも、関西版とくらべて仮名文字を多く使用している。これは対象とする読者の層を幅広く考えてのことか。それとも当時の文化的素養は関西圏の方が勝っていたのか。また、新たに板木を彫ったことで、江戸版は巻6の目録の誤りを訂正している。 


   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

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