浮世絵 吉原(戯作・絵草子) |
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吉原 戯作・絵草子 |
江戸時代に興った文学形態の一つに洒落本(しゃれぼん)というのがある。俄か勉強程度の薄い知識で講釈するのもおこがましいが、洒落本は上方の浮世草子を継ぐべき遊里文学という。この洒落本文学が江戸に定着したのは明和7年(1770)に刊行された「遊子方言」からだとされる。「通」という理念を中心に据えて遊里とその人間関係を写実的に描写してゆく。遊里という限られた場所の、一般人には知られなかった事柄を暴露する”うがち”といった意識も作品に込められていた。 初期洒落本の作者は武家出身の知識人が中心であったが、天明期(1781~)になり町人出身の山東京伝が登場して洒落本の全盛期を迎える。京伝は緻密な写実描写に徹するとともに遊里の男と女の関係を人間味をもって描いた。しかし寛政の改革による出版統制で洒落本は”淫ら”であるとして弾圧されて一時的に姿を消すことに。その後復活するも、洒落本が本来持っていた「通」の意識に支えられながら知的でしゃれた遊びといった作風が薄れられてゆく。 式亭三馬や十返舎一九は形骸化した通人意識や遊里という狭い範囲を超え、風習や掟をうち破り、笑を主軸とした滑稽本という文学形態を作り出す。遊里という特殊な場所を組み入れた作品はその後も黄表紙、合巻なども含めて数多く出版されてゆくが、時代が求めるものの変化や遊里(吉原)そのものの変化もあり、知的でしゃれたといった遊び心が復活することはなかった(ように感じる)。 このぺーじでは洒落本だけでなく(洒落本は挿絵がほとんどない)黄表紙や合巻など吉原遊郭を題材とした作品を集めてみました。 |
傾城千尋之底 絵: 作:遊色軒 |
出版年:寛延2年(1749) 版元: 浮世草子 5巻 京(島原)大阪(新町)江戸(吉原)が題材 |
異素六帖 絵: 作:沢田東江 |
出版年:宝暦7年(1757) 版元:六河亦次郎 洒落本 2巻 現存本ではなく希書複製会から刊行された複製本です |
遊子方言 絵:挿絵なし 作:田舎老人多田爺 |
出版年:明和7年(1770)頃 版元: 洒落本 1巻 |
間違廓輪遊 絵: 作:恋川春町 |
出版年:安永7年(1778) 版元 : 黄表紙 3冊 |
廓花扇観世水 絵:北尾政演 作:朋誠堂喜三二 |
出版年:安永8年(1779) 版元: 黄表紙 2冊(全3冊のうち第3冊目が欠) |
七福神大通人 絵:北尾政演(京伝) 作:伊庭可笑 |
出版年:天明2年(1782) 版元:伊勢屋治助 黄表紙 2冊 |
通人いろは短歌 絵:北尾政演(京伝) 作:芝全交 |
出版年:天明3年(1783) 版元: 黄表紙 2冊 |
廓中丁字 絵:北尾政演(京伝) 作:山東京伝 |
出版年:天明4年(1784) 版元:鶴屋喜右衛門 黄表紙 2冊 |
吉原大通会 絵: 作:恋川春町 |
出版年:天明4年(1784) 版元:岩戸屋源八 黄表紙 3冊 |
通言総籬 絵:北尾政演(京伝) 作:山東京伝 |
出版年:天明7年(1780) 版元:蔦屋重三郎 洒落本 1巻 |
古契三娼 絵:北尾政演(京伝) 作:山東京伝 |
出版年:天明7年(1787) 版元: 洒落本 1巻 吉原が舞台ではなく深川、品川の岡場所を描く |
吉原楊枝 絵:北尾政演(京伝) 作:山東京伝 |
出版年:天明8年(1788) 版元: 洒落本 1巻 |
大通一寸廓茶番 絵:勝川春常 作: |
出版年: 版元:西村屋与八 黄表紙 3冊 |
錦之裏 絵・作:山東京伝 |
出版年:寛政3年(1791) 版元: 洒落本 1巻 寛政の改革の出版統制で淫らな本とされ、京伝は手鎖50日の処罰を受ける。 |
郭中法語九替十年色地獄 絵:鳥居清長 作:山東京伝 |
出版年:寛政3年(1791) 版元:鶴屋喜右衛門 黄表紙 3冊 |
郭通遊子 絵:歌川国政 作:青松亭藍江 |
出版年:寛政9年(1797) 版元: 洒落本 1巻 |
傾城買二筋道 絵: 作:梅暮里谷峨 |
出版年:寛政12年(1800) 版元: 洒落本 1巻 |
復讐阿部花街 絵:秀磨 作:十返舎一九 |
出版年:文化2年(1805) 版元 : 黄表紙 3冊 |
倡売往来 絵:十返舎一九 作:十返舎一九 |
出版年:文化2年(1805) 版元: 洒落本 1巻 |
北里花雪白無垢 絵:渓斎英泉 作:山東京山 |
出版年:文政5年(1822) 版元:岩戸屋喜三郎 合巻 5冊 |
会席料理世界も吉原 絵:歌川国直 作:市川三升 |
出版年:文政8年(1825) 版元:岩戸屋喜三郎 合巻 6冊 |
伊達模様廓寛潤 絵:歌川国安 作:玉柳亭徳升 |
出版年:文政10年(1827) 版元:鶴屋喜右衛門 合巻 5冊 |
青楼花若木栄 絵:歌川国直 作:山東京山 |
出版年:天保4年(1833) 版元:森屋治兵衛 合巻 6冊 |
三人吉三廓乃初買 絵:二代歌川国貞 作:竹葉舎一瓢 |
出版年:安政7年(1860) 版元:紅英堂 合巻 12冊 |
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