日本の伝統話芸である落語は今昔物語や宇治拾遺物語などの滑稽話、説話などにその源流が見られるという。ただし職業としての噺家が出現するのは江戸時代になってから。娯楽の乏し時代の手軽な楽しみとしてに庶民の人気を集めたようだ。当初は芝居小屋や風呂屋、あるいは料理茶屋などの座敷に呼ばれて座敷芸の形で行われていたが、江戸後期には現在見られる形の寄席も出現した。落語は”落ちのある滑稽な噺”が語源で、江戸時代には「落語(らくご)」という表現はされず、軽口噺、座敷噺、落噺(話)と呼ばれていた。
江戸時代の中期以降に軽口噺、座敷噺、落噺を集めた本は数多く出版されたが、絵入本となるとそれほど多くもないようだ。国立国会図書館のデジタル化資料だけで判断するのは拙速でもあるが、「噺」が主題である以上、言葉=文章が主人公で挿絵は添え物でありむしろ邪魔者扱いされていたのかもしれない。それでも何冊かのオリジナルな絵入本を見つけたので掲載します。また同じく座敷芸としての踊りや演芸に関する刊行物や浮世絵も併せて掲載します。 |