三十六歌仙は藤原公任(ふじわらのきんとう・966~1041)が和歌の名人三十六人を選んだ「三十六人撰」が基になって後世に伝えられたもの。これに倣って「中古三十六歌仙(ちゅうこさんじゅうろっかせん)」や「女房三十六歌仙(にょうぼうさんじゅうろっかせん)」「新三十六歌仙」などが作られた。このページに掲載した7種類の三十六歌仙は寛文1年(1683)に同一シリーズとして刊行されたと思われるもので、以下収録された順に従って掲載します。(出版者、出版年は第6巻に記載されている以外にないが、7巻とも体裁が同じであるので便宜上同じとしています)
1巻.三十六歌仙1 撰者:藤原公任(百人一首には大納言公任として採録されている)万葉集から柿本人麻呂・山部赤人・大伴家持。残りは古今和歌集、後撰和歌集から選定されている。
2巻.三十六歌仙2 撰者:不明 1巻および中古三十六歌仙、新三十六歌仙に選定された歌人と大幅に食い違っている。
3巻.三十六歌仙3(新三十六歌仙) 撰者:不明 新三十六歌仙は新古今和歌以降鎌倉時代中期の代表的歌人を収録し鎌倉時代中期に成立したとされるものが通常「新三十六歌仙」とされていますが、掲載の三十六歌仙は江戸時代初期に選定されたと推測されるもの。
4巻.三十六歌仙4(女房三十六歌仙1)撰者:不明 鎌倉時代中期に成立した「女房三十六人歌合」。一人三首ずつの紙上での歌合で左方は中古三十六歌仙の歌人、右方は中世初頭に活躍した歌人が選ばれている。このページに掲載されている歌は各自一首。
5巻.三十六歌仙5(女房三十六歌仙2)絵は第4巻と同一で、一人一首の歌が異なっている。
6巻.三十六歌仙6(釋教三十六歌仙)撰者:栄海僧正(栄海は鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて活躍した真言宗の僧侶)釋教三十六歌仙は仏教先徳者三十六人の和歌を集めたもの。貞和3年(1347)頃に成立したとされる。
7巻.三十六歌仙7(職人三十六歌仙)撰者:烏丸光広(江戸時代前期の公卿)職人歌合の体裁。 |