浮世絵 溪斎英泉

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 溪斎英泉 (けいさい えいせん) 

 芸術家と称される人の生き様は洋の東西を問わず、また昔も今も時代の移り変わりに関係なく、一般人とは異なった波乱万丈の人生を送ることが習わしであり必須の条件であるようだ。溪斎英泉は浮世絵師であり、戯作者であり、そして時に娼家を経営するなど当時の浮世絵界にあっても特異の存在であったと思われる。英泉が描く退廃的な美人画は、その時代の世相を反映したものではあったに違いないが、それを描き出す想像力や力量は多分にその生き様からくるものであったと推測される。一方で風景画にも素晴らしい作品を残しており、また一方で(このサイトに掲載はないが)春画の大家として名を残している。それぞれ異なった趣向の作品を手掛けるときに、それに向かう時の精神状態がいかようであったのか、凡人にはとても推測できない。
 英泉は寛永2年(1790)に下級武士の子として江戸に生まれる。当初は松本姓であったが後に池田姓に変わる。6歳で母を亡くし、12歳で狩野派の絵師に絵を学ぶ。15歳のとき元服して安房北条藩の水野家江戸屋敷に仕官。17歳の時に仕官先で喧嘩沙汰を起こして浪人。知人の伝手で市村座の狂言作者であった篠田金治の作者見習いとして出入りする。この時、千代田才市と名乗る。20歳のとき父と継母を亡くし、三人の妹を養う必要から浮世絵師菊川英山の門人となり、浮世絵を描く。
 絵を描くと同時に数多くの好色本を執筆。22歳の時に”千代田淫乱”の名前で最初の好色本「絵本三世相」を出す。文化13年(1816)26歳の時に挿絵も自分で描いた自画作本「桜曇春朧夜(はなぐもりはるのおぼろよ)」を出版している。
 英泉の描く美人画は下唇が厚く、妖艶で屈折した思いがこもった表情の女性像に特徴があり、退廃的な美意識が当時の世相に受け入れられて人気を博した。同時に英泉の生活には酒と女が切り離せない放蕩無頼なものであったようだ。文政12年(1829)大火による類焼で家を失った後、根津の花街で”若竹屋理助”と名乗って娼家を始めている。しかし娼家稼業もトラブルを起こして長くは続かず日本橋へ移り住んだようだ。嘉永元年(1848)58歳で亡くなる。

 浮世絵    版 本


浮世絵    

 江戸名所     出版年  版元 

 江戸八景   出版年  版元 

 南都八景   出版年  版元 池仲上金
 南都八景のうち5図を掲載 

 木曽街道六十九次   出版年 天保6年(1835)〜天保13年(1842)
 版元保永堂・錦樹堂  木曽街道(中仙道)69宿を描く。広重との合作で、このうち溪斎英泉が24枚を描く。 

 藍摺絵   出版年  版元
 濃淡の藍色だけで描いた浮世絵(錦絵)。英泉が始めた画法とされる。実際には伝統的な藍ではなく当時大量に輸入されたプルシアンブルー(ペルシャ藍)を使用して摺られた。

 十二か月の内   出版年  版元 

 浮世姿吉原大全   出版年  版元 

 仇競今様姿   出版年  版元 

 当世好物八契   出版年  版元 

 見立吉原五十三次   出版年  版元 蔦屋吉蔵 

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版 本    

文化年間(〜1817) 文政4年(1821)  文政5年(1822)  文政6年(1823)  文政7年(1824)
 文政8年(1825) 文政9年(1826)  文政10年(1827)  文政11年(1828)  文政12年(1829)
 天保年間(1830〜1843))  弘化1年(1844)以降   



 文化年間(〜1817)    

 桜曇春朧夜

 絵:溪斎英泉
 作:溪斎英泉 
 出版年:文化13年(1816)  版元:丸屋文右衛門 
 合巻 5冊

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 文政4年(1821)    

 花柳街寄恋白波

 絵:溪斎英泉
 作:一筆庵可候
 出版年:文政4年(1821)  版元:鶴屋喜右衛門
 合巻 5冊

 桃花流水

 絵:溪斎英泉
 作:一筆庵可候
 出版年:文政4年(1821)  版元:鶴屋喜右衛門
 合巻 5冊

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 文政5年(1822)    

 照子池浮名写絵

 絵:溪斎英泉
 作:曲亭馬琴
 出版年:文政5年(1822)  版元:錦林堂
 合巻 6冊

 小町琴柱誂差込

 絵:溪斎英泉
 作:東里山人
 出版年:文政5年(1822)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 6冊

 北里花雪白無垢

 絵:溪斎英泉
 作:山東京山 
 出版年:文政5年(1822)  版元:岩戸屋喜三郎 
 合巻 5冊

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 文政6年(1823)    

 大内山月雪花誌

 絵:歌川国直・溪斎英泉
 作:東里山人 
 出版年 文政6年(1823)  版元 岩戸屋喜三郎 
 合巻 10冊
 前編4冊を歌川国直が、後編6冊を溪斎英泉が描く。

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 文政7年(1824)    

 女帯糸織八丈

 絵:溪斎英泉
 作:東西庵南北 
 出版年:文政7年(1824)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 6冊

 開運菊一文字

 絵:溪斎英泉
 作:十返舎一九
 出版年:文政7年(1824)  版元:伊藤与兵衛
 合巻 6冊

 園乃雪花魁

 絵:溪斎英泉
 作:二代南仙笑楚満人
 出版年:文政7年(1824)  版元:西村屋与八
 合巻 2冊

 釣狐花の俤

 絵:溪斎英泉
 作:東里山人 
 出版年:文政7年(1824)  版元:岩戸屋喜三郎 
 合巻 5冊

 牛嶋土産

 絵:溪斎英泉
 作:滝亭鯉丈 
 出版年 文政7年(1824)  版元 越前屋長次郎 
 滑稽本 3巻

 菊廼井草紙

 絵:溪斎英泉
 作:為永春水 
 出版年:文政7年(1824)  版元:中村屋幸蔵 
 人情本 12巻

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 文政8年(1825)    

 誂染袷帷子

 絵:溪斎英泉
 作:山東京山
 出版年:文政8年(1825)  版元:丸屋文右衛門
 合巻 6冊

 月娥眉尾花振袖

 絵:溪斎英泉
 作:山東京山 
 出版年:文政8年(1825)  版元:森屋治兵衛 
 合巻 6冊

 金毘羅船利生纜

 絵:溪斎英泉
 作:曲亭馬琴
 出版年:文政8年(1825)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 6冊

 其俤錦絵姿

 絵:溪斎英泉
 作:東里山人 
 出版年:文政8年(1825)  版元:岩戸屋喜三郎 
 合巻 6冊

 初霞江戸竪入

 絵:溪斎英泉
 作:東里山人
 出版年:文政8年(1825)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 5冊

 出謗題無知哉論

 絵:歌川国直・歌川広重・溪斎英泉
 作:東里山人 
 出版年 文政1年(1818)〜  版元 岩戸屋喜三郎
 合巻16冊(4冊+6冊+6冊)
 全三部作。第一部(文政1年・1818刊)国直が挿絵。第二部(文政5年・1822刊)広重が挿絵。第三部(文政8年・1825刊)溪斎英泉が挿絵を描く  

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 文政9年(1826)    

 鎌田又八強力譚

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:文政9年(1826)  版元:丸屋甚八
 合巻 6冊

 児鑑東孝経

 絵:溪斎英泉
 作:東里山人
 出版年:文政9年(1826)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 6冊

 褄重思乱菊

 絵:溪斎英泉
 作:関亭伝笑
 出版年:文政9年(1826)  版元:若狭屋与市
 合巻 4冊

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 文政10年(1827)    

 犬著聞傾城亀鑑

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿 
 出版年:文政10年(1827)  版元:佐野屋喜兵衛 
 合巻 6冊

 傾城恋三味線

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:文政10年(1827)  版元:丸屋甚八
 合巻 5冊

 通人料理かしくの献立

 絵:溪斎英泉
 作:東西庵南北 
 出版年:文政10年(1827)  版元:和泉屋市兵衛 
 合巻 6冊

 繋馬七勇婦伝

 絵:溪斎英泉
 作:二代楚満人 
 出版年:文政10年(1827)  版元:西村屋与八
 合巻 12冊

 三日月太郎物語

 絵:溪斎英泉
 作:東里山人
 出版年:文政10年(1827)  版元:岩戸屋喜三郎
 合巻 6冊

 結縁日浮世雛形

 絵:溪斎英泉
 作:瀬川路考
 出版年:文政10年(1827)  版元:丸屋甚八
 合巻 4冊

 四ツ家怪談

 絵:溪斎英泉
 作:尾上梅幸
 出版年:文政10年(1827)  版元:若狭屋与市
 合巻 6冊

 四ツ家怪談後日譚

 絵:溪斎英泉
 作:尾上梅幸
 出版年:文政10年(1827)  版元:若狭屋与市
 合巻 6冊

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 文政11年(1828)    

 入船帳忠義之湊

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:文政11年(1828)  版元:佐野屋喜兵衛
 合巻 6冊

 御婢子育桂川鮎

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:文政11年(1828)  版元:川口正蔵
 合巻 6冊

 色三味線仇合奏

 絵:溪斎英泉
 作:瀬川路考 
 出版年:文政11年(1828)  版元:若狭屋与市  
 合巻 6冊

 鹿子紋娘道成辞

 絵:溪斎英泉
 作:山東京山
 出版年:文政11年(1828)  版元:丸屋甚八
 合巻 6冊

 杜若紫再咲

 絵:溪斎英泉
 作:岩井粂三郎
 出版年:文政11年(1828)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 6冊

 黒雲太郎雨夜譚 初編

 絵:溪斎英泉
 作:乾坤坊良斎
 出版年:文政11年(1828)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 6冊

 黒雲太郎雨夜譚 二編

 絵:溪斎英泉
 作:乾坤坊良斎
 出版年:文政12年(1829)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 6冊

 初時雨矢口渡

 絵:溪斎英泉
 作:十返舎一九
 出版年:文政11年(1828)  版元:山本平吉
 合巻 6冊

 錦之嚢 

 絵:溪斎英泉
 出版年 文政11年(1828)  版元 河内屋茂兵衛 
 絵手本 1巻

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 文政12年(1829)    

 博多小女郎物語

 絵:溪斎英泉
 作:十返舎一九
 出版年:文政12年(1829)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 6冊

 七種薺物語

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿 東里山人
 出版年:文政12年(1829)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 6冊

 昔語忠義之朱達満

 絵:溪斎英泉
 作:溪斎英泉
 出版年:文政12年(1829)  版元:川口正蔵
 合巻 5冊

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 天保年間(1830〜1843)  

 縫絵双白浪 二編

 絵:溪斎英泉
 作:尾上梅幸
 出版年:天保1年(1830)  版元:丸屋甚八
 合巻 4冊
 初編は文政11年(1828)歌川国貞が挿絵を描く 

 大島台婚礼盃

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿 
 出版年:天保1年(1830)  版元:蔦屋吉蔵 
 合巻 6冊

 摺鉢太郎豪傑譚

 絵:溪斎英泉
 作:尾上梅幸
 出版年:天保1年(1830)  版元:丸屋甚八
 合巻 4冊

 西国奇談月廼夜神楽 二編

 絵:溪斎英泉
 作:五柳亭徳升
 出版年:天保2年(1831)  版元:佐野屋喜兵衛
 合巻 5冊
 初編は文政12年(1829)歌川国芳が挿絵を描く

 歌枕偽物語

 絵:溪斎英泉 貞斎泉晁
 作:尾上梅幸
 出版年:天保2年(1831)  版元:丸屋甚八
 合巻 8冊
 初編4冊を英泉、二編4冊を貞斎泉晁が描く

 富士裾うかれの蝶鵆

 絵:溪斎英泉
 作:柳亭種彦
 出版年:天保2年(1831)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 4冊

 花桜木春夜話

 絵:溪斎英泉
 作:柳亭種彦
 出版年:天保4年(1833)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 4冊

 絵本武智袋

 絵:溪斎英泉
 作:十返舎一九
 出版年:天保4年(1833)  版元:和泉屋市兵衛
 合巻 4冊

 洗鹿子紫江戸染

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:天保6年(1835)  版元:佐野屋喜兵衛
 合巻 6冊

 也字結恋之わな天

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:天保7年(1836)  版元:佐野屋喜兵衛
 合巻 4冊

 豊年武都英

 絵:溪斎英泉
 作:手前翰謂着喜
 出版年:天保10年(1839)  版元:山本平吉
 合巻 4冊

 一対若衆梅桜樹

 絵:溪斎英泉
 作:美図垣笑顔 
 出版年:天保12年(1841)  版元:和泉屋市兵衛 
 合巻 4冊

 熊野御前花見車

 絵:溪斎英泉
 作:梅舎春鳥
 出版年:天保12年(1841)  版元:蔦屋吉蔵
 合巻 4冊

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弘化1年(1844)以降  

 其昔忍戻摺

 絵:溪斎英泉
 作:松亭金水 
 出版年:弘化1年(1844)  版元:
 合巻 4冊 

 幼稚絵解古状揃

 絵:溪斎英泉
 作:溪斎英泉
 出版年:弘化2年(1845)  版元:甘泉堂
 合巻 4冊

 歌枕二世譚

 絵:三代歌川豊国
 作:一筆庵可候(溪斎英泉)
 出版年:嘉永2年(1849)  版元:住吉屋政五郎
 合巻 4冊

 釣華生梅廼三日月

 絵:溪斎英泉
 作:墨川亭雪麿
 出版年:嘉永2年(1849)  版元:佐野屋喜兵衛 
 合巻 4冊

 秀雅百人一首

 絵:溪斎英泉 他
 作:緑亭川柳 
 出版年:弘化5年(1845)  版元:
 狂歌絵本 北斎が口絵と10丁(20ページ)、国芳、重信、英泉、三代豊国が各々10丁(20ページ)を描く 

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 紋切形 

 絵:溪斎英泉
 出版年 弘化5年(1848)  版元 本屋又助
 絵手本 1巻 衣紋、家紋が中心のデザインブック 

 舌切雀

 絵:溪斎英泉
 作:可候
 出版年:  版元:山本
 赤本 2冊

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 絵:溪斎英泉
 作:
 出版年:  版元:
 合巻 冊

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