浮世絵 菱川師宣 
 
    

菱川師宣トップページ       浮世絵トップページ 
やっこ俳諧 (やっこ はいかい)
 俳諧絵本 1巻  絵師:菱川師宣 編者:可徳   出版:寛文7年(1677) 版元:うろこがたや 

 やっこ俳諧とは、武家の奉公人であった”奴(やっこ)”が使用していた「奴詞(やっこことば・六法ことばとも言った)」で綴った俳諧のこと。寛文期を中心として流行った。奴はもともと下級の武家奉公人のことだが、旗本の若武士などが旗本奴、町人の無頼者や博徒が町奴などと称して集団を組み、異装、異風、男伊達を競って江戸の街を徘徊してしばしば事件を起こしている。因みに旗本奴には水野十郎左衛門が組織した「大小神祗組」のほかに「鉄砲組」「笊(ざる)組」「鶺鴒(せきれい)組」「吉屋組」「唐犬(とうけん)組」の六団体があり、これを六法と称し、これが六法詞の謂れとなる。やっこ詞、六法詞は武家言葉の一種であるが関東方言を基調とした粗野な言葉使いで吉原の廓言葉の基にもなったとされる。
 掲題の書はやっこ俳諧の中心的な役割を果たした歌仙の一人「可徳」が編纂したもの。挿絵を描いた絵師の名はこの頃の習慣として記載されていないが、菱川師宣と推定されている。なお、この時代にはまだ色付けの摺りは行われておらず、出版後に手彩色でなされたものと思われます。
 奴詞で綴られた水野十郎左衛門の辞世の句
 「落とすなら 地獄の釜を突ん抜いて 阿呆羅利に 損をさすべい」

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ページトップ 


 Copyright(C)tenjikuroujin.jp All rights Reserved