浮世絵 洒落本 
   
 
    

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洒落本

 江戸時代中期、宝暦年代(1751~1764)から明和年代(1764~1772)ころに主として江戸の地に「戯作(げさく)」と呼称された文学が定着しはじめた。戯作は文学を慰みとする考え方から生まれた呼び名。武士階級や学者・文人などの知識人による余技であり遊びの境地を楽しむものとして古典・故事などの知識を踏まえ、通意識・うがち(特殊事実の暴露)・もじり(パロディ)や比喩のおかしさを戯作の中に織り交ぜていた。その根底には封建社会の権威に対する反骨の姿勢もうかがわれる。
 戯作の代表とされる草双紙の一形態である絵と文章を調和させた黄表紙の興隆と共に、写実的描写を用いて小説的な構成で作り上げた洒落本・滑稽本・人情本と呼ばれる分野の作品も生まれてきた。
 洒落本は文学的な流れからは上方の浮世草子を継ぐ遊里文学とされる。享保年代(1716~1736)の中頃には漢文調で書かれた洒落本が現れたが、江戸で洒落本が定着したのは明和7年(1770)に刊行された「遊子方言(ゆうしほうげん)」からといわれる。遊子方言は「通」という理念を中軸として遊里とそれに関わる人々を写実的に描いている。
 天明期(1781~1788)に町人出身の山東京伝の登場などにより洒落本は全盛期を迎える。しかし天明期末から寛政期(1789~1801)の寛政改革により洒落本は淫らな書として規制を受け、山東京伝が寛政3年(1791)に出版した「 錦之裏(にしきのうら)」は摘発され京伝は手鎖50日の刑に処せられている。
 一時的に姿を消した洒落本も改革のほとぼりが覚めた寛政末には復活する。しかし通の意識に支えられたしゃれた遊びの境地を描くといった洒落本の性格が薄れてゆく。通の遊び、粋な遊びではない恋愛・人情が中心となった作風は遊里という場所に拘ることができず、滑稽本・人情本へと流れていった。

 異素六帖
 絵:
 作:沢田東江 
 出版年:宝暦7年(1757)  版元:六河亦次郎
 洒落本 2巻 
 現存本ではなく希書複製会から刊行された複製本です。
  

 郭中奇譚
 絵:橘民江
 作:臼岡
 出版年:明和6年(1769)  版元:本屋吉兵衛
 洒落本 1巻

 遊子方言
 絵:挿絵なし
 作:田舎老人多田爺
 出版年:明和7年(1770)頃  版元:
 洒落本 1巻

 当世風俗通
 絵:恋川春町
 作:朋誠堂喜三二
 出版年:安永2年(1773)  版元:著々羅館蔵
 洒落本 1巻

 契国策
 絵:
 作:
 出版年:安永5年(1776)  版元:吉寿堂
 洒落本 1巻

 風俗問答
 絵:
 作:劉道醉
 出版年:安永5年(1776)  版元:姫路屋善右衛門
 洒落本 1巻

 妓者呼子鳥
 絵:礒田湖龍斎
 作:田螺金魚
 出版年:安永6年(1777)  版元:
 洒落本 1巻

 竜虎問答
 絵:
 作:蓬莱山人帰橋
 出版年:安永8年(1779)  版元:
 洒落本 1巻

 美地之蛎売
 絵:
 作:蓬莱山人帰橋
 出版年:安永8年(1779)  版元:多田屋利兵衛
 洒落本 1巻

 芸子孝行術
 絵:
 作:桃栗山人柿発斎
 出版年:安永9年(1780)  版元:
 洒落本 1巻

 玉菊灯籠弁
 絵:南陀羅紫蘭
 作:南陀羅紫蘭
 出版年:安永9年(1780)  版元:
 洒落本 1巻

 大通人好記
 絵:
 作:在原持麿
 出版年:安永9年(1780)  版元:蔦屋重三郎
 洒落本 1巻

 通人の寝言
 絵:
 作:桃栗山人柿発斎
 出版年:天明2年(1782)  版元:
 洒落本 3巻

 人遠茶懸物
 絵:
 編:芝 甘交 
 出版年:天明6年(1786)  版元:
 洒落本 1巻
 現存本ではなく希書複製会から刊行された複製本です。
  

 古契三娼
 絵:北尾政演
 作:山東京伝 
 出版年:天明7年(1787)  版元:
 洒落本 1巻

 通言総籬
 絵:山東けいこう
 作:山東京伝 
 出版年:天明7年(1787)  版元:蔦屋重三郎
 洒落本 1巻 
  

 吉原楊枝
 絵:北尾政演
 作:山東京伝 
 出版年:天明8年(1788)  版元:
 洒落本 1巻 

 錦之裏
 絵:山東京伝
 作:山東京伝 
 出版年:寛政3年(1791)  版本:
 洒落本 1巻 

 養漢裸百貫
 絵:渡辺南岳 他
 作:西村定雄
 出版年:寛政8年(1796)  版元:〇屋善助
 洒落本 5巻

 辰巳婦言
 絵:喜多川歌麿
 作:式亭三馬 
 出版年:寛政10年(1798)  版元:
 洒落本 4巻 

 傾城買二筋道
 絵:
 作:梅暮里谷峨
 出版年:寛政12年(1800)  版元:
 洒落本 1巻

 田舎芝居
 絵:
 作:万象亭
 出版年:享和1年(1801)  版元:蔦屋重三郎
 洒落本 1巻

 仇手本
 絵:画狂人北斎
 作:小金あつ丸 
 出版年:享和2年(1802)  版元:
 洒落本 1巻
 

 通新戯
 絵:画狂人北斎
 作:小金あつ丸
 出版年:享和2年(1802)  版元:
 洒落本 1巻  「仇手本」ぼ後編

 倡売往来
 絵:十返舎一九
 作:十返舎一九
 出版年:文化2年(1805)  版元:
 洒落本 1巻

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