南北朝時代から江戸時代初期にかけて、平易で散文体の読み物が数多く作られている。これらは「室町時代物語」「室町時代草子」などと呼称されることもあるが、一般的には「御伽草子」の名前で親しまれている。物語の成立当初は製版技術が確立されておらず主として写本による流通であったが、江戸時代になって木版による絵入の草紙として出版されるようになり、その数は400編を超えるとされる。また「御伽草子」と一括りで纏めても、その内容は様々です。”御伽”の言葉の意味をどう解釈するかにもよるが、現代風に年少者の読み物とイメージすると、すべてを”御伽”草子と呼ぶことにはいささか抵抗がある。古典文学の解説書を覗き見すると、これら作品をいくつかに分類しているようだが、素養のない私には結局のところよくわからない。ここでは全てを(といっても25作品しかないが)「室町物語」として掲載し、別に江戸時代の寛文年間頃(1661〜1672頃)に大阪心斎橋、渋川清右衛門から出版された23編の御伽草子を「御伽草子(渋川版)」のファイルに掲載します。
なお、「室町物語」のファイルに掲載した作品のなかのいくつかは「御伽草子(渋川版)」あるいは「奈良絵本」のファイルにも同様の作品があり、またこのファイルにも同じ筋書きの作品が表題を変えて、あるいは挿絵や内容を多少変えて出版されています。 |